琉球切手を旅する
与那原恵『琉球切手を旅する-米軍施政下沖縄の二十七年』
最近ではめっきり買わなくなってしまったが、かつては趣味で切手を収集していた。
特に「昆虫」を題材にした図案が好きで、日本だけでなく海外の昆虫切手も色々集めては切手アルバムにコレクションしていた。
そのなかで特にお気に入りだったもののなかに、日本最大の蛾として知られる「ヨナグニサン」を図案にした日本生物教育学会沖縄大会記念の切手がある。
これは1959年に沖縄で発売された切手で、切手には「琉球郵便」の文字が書かれ、額面の単位は円ではなくセント(¢)である。
この本は、沖縄が米軍施政下にあった1948年から1972年の間に沖縄だけで発行されていた「琉球切手」をデザインした美術家の手記や、図案のモデルになった人物へのインタビューなどの証言をもとに、米軍施政下の沖縄社会について紐解いていく。
それぞれの切手にその時代を生きた人々のストーリーがあり、ヨナグニサンが描かれた「日本生物教育学会沖縄大会記念」の切手にも発行に至るまでに、劣悪だった戦後沖縄の教育環境を改善するべく奔走した人物の物語があった。
これまでは切手の図案の題材にばかり目を向けていたが、そこには色々なドラマがあったことに気づかされた。
その他
- モーリス・ルブラン『ルパン対ホームズ』
- ラルフ・ジェームズ・サヴァリーズ『嗅ぐ文学、動く言葉、感じる読書――自閉症者と小説を読む』
- H・G・ウェルズ『解放された世界』
- パウル・トーマス・マン『トニオ・クレエゲル』
- サマセット・モーム『月と六ペンス』